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野外実習―キャンパスのなかで出会う生きものの営み― [学問・研究]

 教育人間学の講義では恒例となっている、野外実習。今日、今年も実践。
 キャンパスのなかで出会う自然の営み。わざわざ野山に出かけなくても、ちょっと意識して観察してみれば、実に豊かないのちの営み、また、生きもの同士のつながりを理解する機会がある。そういうことを体験する機会として、あえて身近なキャンパスをフィールドとしている。
 すぐ近くに山があることもあり、その山沿いまで、フィールドに含めた。
 毎年いろいろな発見があって面白い。
 今回だと、ガを捕らえて食べようとするところの、トカゲ(カナヘビの仔だろう)。
 木の葉に擬態したバッタの一種(アオマツムシか?)
 「クモの巣」といっても、種ごとに形もさまざまで、その主も多様。
 人工的に植えられた植物でも、その花の蜜を求めて、いろいろな種類の虫が集まる。その植物の種類が多ければ虫も種類が豊かになるというのは、生物多様性理解の基本。
 生きものそのものでなくても、アリの巣穴や虫の死骸をはじめとして、「生きものの跡」を探すのも手。「フィールドサイン」の発見、というわけだ。
 私にとってはメインである「鳥」について言えば、今はシーズンオフに近く、営巣中のカラスがけたたましいのと、年中キャンパスで見られるメジロ、あとシジュウカラ、ヒヨドリなど、限られていた。
 ただ、スズメの砂浴び。もっともありふれた鳥の一つだが、「砂を浴びる」という習性(寄生虫などの駆除のため)に立ち会えたのは、はじめてという人も多かった。
 こんなふうに、わざわざ遠くの野山に出かけなくても、ちょっと注意して観察力を働かせるだけで、いろんな生きものに出会える。
 それだけでなく、さらに洞察力を働かせれば、生命のつながり、生態系のしくみについての理解も増す。
 さらに、キャンパス内の生きものたちは、外部の環境とはどのようにつながっているか、も思いをめぐらせてもらう。虫や鳥はどこと行き来しているのか、人間が植えたわけでない植物はどこからどんなふうに来たのか。
 また、「五感を働かせる」。現代人は視覚情報に依存するところが圧倒的に大きいから、それ以外の感覚で感じられるものにどんなものがあるか(「五感」といっても、さすがに「味覚」だけは危険もあるので除外したが)。鳥の声、虫の羽音や風にそよぐ木の葉から、土の匂い、草の匂い、アリが腕を這う感触、森のそばに寄ったときの気化熱による涼しさ、まで。
 加えて、「教育人間学」の講義ということもあり、ここが仮に小学校や中学校だとしたら、どんなふうに子どもたちに環境教育が出来るだろうか…というテーマも、考えてもらった。
 生きものとの出会いは、身近な場所でも出来る。
 それが、自然を遠く離れたものと感じず、自分と密接に結びついたものとして感受するきっかけになる。
 環境への配慮の出発点は、こんなところにあると思う。レイチェル・カーソンの言葉でいえば、「センス・オブ・ワンダー」を身近から。
 写真も載せたいところだが、撮影はほぼ受講生たちに任せたので(私が撮ると自分がのめり込みかねないので)、そのデータが届いたときにでも。

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