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社会調査のありよう [学問・研究]

未婚20代男女の3割近く「結婚しなくてもいい」……結婚観に関する調査
http://pc.moppy.jp/lab/archives/361

この動向それ自体へのコメントは措く。

ただ一言、このモッピーラボなるマーケティングリサーチサイトのほうが、少なくともアンケートの作成に関しては、国家機関である国立社会保障・人口問題研究所よりずっと「まとも」であることだ。

 どういうことかというと、以下の違いだ。

前者では選択肢は「結婚したい」「結婚しなくてもいい」「結婚したくない」の三択なのに対して、
後者では「いずれ結婚するつもり」「一生結婚するつもりはない」の二者択一。

 後者では、「結婚しなくてもいい」という選択肢が無い。
 そう考えている人も、相手次第では結婚してもいいということだろうから、「いずれ結婚するつもり」の方に回答する割合が高いだろう。
 未婚化・晩婚化の事情を把握したければ、確信的な独身主義者よりも、結婚を絶対視しない層(結婚を人生の必修科目でなく、選択科目としか思っていない)の動向こそ注目すべきだと思うが、国立研究所の調査ではそれが把握できない。
 強制二者択一=「フォースト・チョイス」と呼ばれる、典型的な欠陥アンケートのあり方だ。
 あえて裏を読めば、国立社会保障・人口問題研究所の調査は、「結婚しなくてもいい」層の増加がリアルに表われては国家的に不都合だから、あえてこの選択肢を設けないアンケートを行っている、世論調査に名を借りた世論操作ではないか、とも勘繰りたくなる。
(下位項目に「ある程度の年齢までに」「理想の人が現れるまで」の区分はあるにはあり、「しなくてもいい」層は後者を選ぶのだろうが、これはたいていは調査結果の前面に出てこないし、「結婚しなくてもいい」と同じだとは解釈できない)
 果ては、この調査結果をもとに、「未婚者の結婚願望は相変わらず高い」「若者たちはみな結婚したがっている」と解釈する社会学者もいたりする。
 この程度のアンケートの欠陥を見抜けないとは、社会調査のどんな訓練を受けたのだろうか。

モッピーラボなるマーケティングリサーチサイトの調査がどこまで信用できるかはともかくとして、アンケートの作り方自体はこちらのほうがはるかに優れており、社会の実態を把握するには相応しいだろう。

参考までに

国立社会保障。人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/

モッピーラボ
http://pc.moppy.jp/lab/

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