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看護学校での倫理学初講義ほか [学問・研究]

 新年度に入り、今日は看護学校での倫理学の初講。
 1年生配当の科目だが、今回はまさに新入生が入学して最初に受ける授業。それだけにこの学校での学びについて、どのような印象を与えるのかにもかかわるだけに、結構重要だ。
 昨年の日記にも書いたが、私の倫理学の授業はもちろん「道徳のお説教」などではないし、また、概論的に、古今の倫理思想や生命倫理の概念を知識として教えようとするものではない。
 未来の看護師たちのために、将来実践の場に出たときに、倫理的に考える力をつけてもらうための手助けだ。
 だから、自分で考えて取り組むことを重視する。ディスカッションをはじめとする参加型のアプローチは、むしろ当然だ(ちなみに高校時代からこういうスタイルの授業を受けた経験のある私としてはごく当たり前に感じられる形態なのだが、実のところ一般にはどうなのだろうか)。
 そのために、倫理的に考えるための柱として「論理・想像力・対話」の三つを強調して打ち出すのも定番。つまり、明確な根拠をもって、筋道立てて自分の考えを述べられること。自分の判断・行動が、見えないところにまで及ぼす影響、影響を受ける人たちの立場にまで思いを致すこと。そして、自分ひとりでの視野の限界を自覚し、他の人の考えに耳を傾けること、だ。
 去年同様、初回の倫理学的思考・練習問題として「(急いでいる状況で、安全に渡れそうな)赤信号を渡るか?」という設問で考えてもらった。今年は、このテーマにもミニ・ディスカッションを導入。
 ここで衝突しているものは何か、を考えてもらい、隣席の人と意見を交換する。
 実際、「渡る」「渡らない」の判断にしても、さまざまな根拠で主張しあっているようで興味深い。
 法律、ルールというものの意味まで、考えてもらうきっかけにもなったようだ。
 そしてもう一つの定番、L. コールバーグの「ハインツのディレンマ」より。「妻の命を救うために悪徳薬剤師から特効薬を盗む行為は正しいと思うか」という設問だ。
 今年は、意外に「盗みを正しい」とする意見が多かったようだ。まだ正確な集計はしていないが、改めて全員の意見を読み直すのも楽しみだったりする。

 午後には、顔見世という感じながら、出身研究室の花見に顔を出させていただいた。

 夕方からの仕事がドタキャンになった関係で、思わぬところで撮れた夕日。ここまで美しかったのも久々だ。空の染まり具合や、沈む場所もいい。「一瞬の奇跡」を感じさせるものだった。
 露出を変えて撮ると随分色合いも違ったものになるので、比べてみるのも一興。

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